ご挨拶 Greeting

大会会長 出光 芳秀 氏

出光 芳秀

 全国藩校サミット福岡大会へお越しくださいまして、誠にありがとうございます。
 藩校サミットは漢字文化振興協会の提唱により、平成14年3月に湯島聖堂昌平坂学問所でその第1回が開催されました。以後ほぼ毎年、日本各地の藩校所在地で開催されてきましたが、このたび13回目の大会を福岡で開催する運びとなりましたことを、大変光栄に思っております。昨年のNHK大河ドラマは福岡藩の藩祖「軍師官兵衛」でしたが、その流れが福岡の出番への導きになったのかもしれません。
 江戸後期には、全国に約300の藩が存在し、全盛期には255校の藩校がありました。その藩校教育は、明治維新に大きな影響を与えましたが、明治4年の廃藩置県によって多くの藩校は廃校となります。現在、何らかの形で藩校サミットに参加している団体は70~80を数えます。特に福岡県は、藩校の校名を引き継ぐ育徳館、伝習館、明善、それに修猷館の4つの高校があり、この4校は校名だけでなく藩校教育の精神を実質的に承継している存在といえます。
 藩校サミットの開催目的は藩校教育に関する研究・研修です。福岡大会では、藩校修猷館に学び、一旦廃校ののち黒田長溥公の命により英語専修修猷館を再興し、現在の修猷館高校の歴史を開いた金子堅太郎を、神田紅氏の講談によりご紹介いたします。江戸から明治への激動に生き、論語と英語を学び、アメリカにて勉学ののち明治憲法起草、ポーツマス条約締結に活躍した大先輩を取り上げ、そこに現代に生きる藩校教育の精神、修猷館の教育を全国に紹介していきたいと考えています。
 藩校修猷館の精神は「質朴剛健」「不羈独立」「自由闊達」という言葉に表されています。そして「世のため人のために尽くす」修猷館教育を承継してきました。その修猷館高校で学んで全国的に活躍されている方々によるシンポジュウムもお楽しみいただきたいと思います。またこの大会に全国より、徳川宗家(将軍家)を始めとする約30藩の各藩当主をお迎えし、皆様にご紹介することができるのもおおきな喜びです。
 江戸時代、日本の藩、藩校にはそれぞれの教育方針があり、藩士の教育に力をいれました。江戸の文化を背景に、藩校教育で育まれた人材が幕末、明治維新を力強く乗り切りその後の日本の舵取り役を果たしたわけです。戦後70年を迎え、さらに難しい舵取りが必要な昨今、藩校教育の精神を見直し、新たな人材教育の糧とすべき時を迎えています。今回のサミットがそその一助となれば幸いです。