ご挨拶 Greeting

漢字文化振興協会会長 石川 忠久 氏

石川 忠久

 この度、第十三回全国藩校サミットが、ここ福岡の地において、藩校修猷館に源を発する修猷館同窓会の全面的なお力添えにより、盛大に開催される運びとなりましたことは、まことに喜びに堪えません。
 藩校修猷館は、天明四年(一七八四)に、第七代藩主黒田治之公の遺命により設立され、明治の廃藩置県の際、一時廃校になりましたが、元藩主長溥公のもと、藩校出身の金子堅太郎らの建言により復活、県立校として変遷を経、現在の修猷館高校に継承されました。
 この間、政界・外交界に活躍した金子堅太郎を始め、学界・財界など多方面に幾多の人材を輩出し、その盛名は全国に鳴り響いております。この度のサミットが、伝統を脈々として継承される同窓会を主体として、力強く挙行されますことは、まことに意義深いことと存ずる次第であります。
 時あたかも敗戦後七十年の節目を迎え、戦争体験者の減少に思い至る今日、江戸・明治以来の伝統と、その継承の意義を、激動の七十年を振り返りつつ、改めて問い直さなければならないと存じます。
 当漢字文化振興協会は、平成七年に創立され、十五年に亘って活動を続けてまいりました「漢字文化振興会」の後を受け、藩校サミットを強力に推進する他、漢文教育指導者講習会や、各地方新聞と連携しての文化講演会を開催するなど、文化事業を展開しております。近年はこれに加え、“論語素読”などの盛行に応じ、「論語検定」と「漢詩文検定」を、湯島聖堂を拠点に創め、四年目を迎えます。今後、皆様のご協力を得てさらなる発展を期したいと存じます。
 最後に、この度のサミットへの関係者の皆様の献身的なお力添えに感謝し、このサミットが稔り多き会となりますよう祈念して、ご挨拶といたします。